卵摂取による血漿ルテイン及びゼアキサンチン増加

卵のホスファチジルコリンまたは重酒石酸コリン(CB)サプリメント摂取がメタボリックシンドローム(MetS)患者の腸内細菌叢や、血漿中のルテインとゼアキサンチン等に及ぼす影響を調べるため、ランダム化比較クロスオーバー試験を実施した。MetSの被験者23名が、卵3個/日またはCBサプリメント(いずれもコリン当量400mg/日)を4週間摂取した。その結果、卵摂取はベースラインまたはCBサプリメント摂取と比較して、血漿ルテインとゼアキサンチンが有意に増加した(p<0.01)。トリメチルアミンN-オキシドはベースラインと比較して食事介入間で差が無かった(p>0.05)。いずれの介入も細菌叢の多様性や菌種の相対存在量に影響を与えなかった。卵摂取後の血漿ルテインとゼアキサンチンの増加は、MetSでよく見られる酸化ストレスから保護する作用を示唆するかもしれない。
Minu S Thomas, et al. Nutrients. 2022; 14(6):1179.
ルテイン摂取と高齢者の脳の健康
先行研究では、システマティックレビューによりルテイン摂取が高齢者の認知機能の改善と関連することが明らかになったが、ルテイン摂取と脳の健康の関係性は明確ではない。このため、高齢者を対象に脳とルテインの関連を調べた研究(ルテイン摂取介入試験または横断研究)の中から、脳の活動や構造を脳画像技術(MRI)または脳波(EEG))により測定した報告について、システマティックレビューを実施し分析した。その結果、MRIを使用した7件の研究とEEGを使用した2件の研究が対象となった。MRI研究のうち3件の介入研究では、12ヶ月間の10mgのルテイン摂取が、高齢健常者の学習中の脳活動、安静時脳機能結合、灰白質容積にプラスの影響を与えることが示された。また、MRIを使用した4件の横断研究では、ルテインが脳の構造と認知タスク中の神経効率と正の相関があることが示唆された。計9件の研究レビューから、ルテインが高齢の健常者の脳の健康に有益な効果をもたらすことが示された。
Ayano Yagi, et al. Nutrients. 2021; 13(6):1746.
ピスタチオ摂取が減量療法を受けている肥満の成人に与える効果
ピスタチオナッツの摂取が肥満の成人に与える影響について、4ヶ月間のランダム化比較試験を実施して調べた。糖尿病のない肥満の成人100名が減量のための行動療法を受けながら、ピスタチオ42g/日摂取群とナッツ摂取を控えるよう求められた対照群に割り当てられた。体重の変化率は両群で同程度であり、BMIとウエスト周囲径も両群で減少した。一方、ピスタチオ摂取群では収縮期血圧と拡張期血圧の有意な低下が見られ、血漿中のα-カロチン、β-カロチン、ルテイン濃度は有意に増加した。さらにピスタチオの摂取は、食物繊維摂取量の増加および菓子類の摂取量の減少と関連していた。
Cheryl L Rock, et al. Nutrients. 2020; 12(7):2155.
抹茶の成分と認知機能向上の関連性

抹茶には、茶カテキン、ルテイン、ビタミンK等の健康に有益な成分が含まれている。毎日の抹茶の摂取と地域在住高齢者の認知機能との関係を調査するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。参加者61名が、新鮮な抹茶3g/日またはプラセボ粉末を含む試験飲料を12週間摂取した。介入後のモントリオール認知評価(MoCA)を分析した結果、抹茶群の女性グループで認知機能(言語領域)の有意な向上がみられた。食事分析では、試験飲料以外の毎日の食事中のビタミンK摂取量とMoCAの変化との間に有意な逆相関関係が認められた。地域在住の高齢の女性に対して、抹茶摂取は認知機能低下から保護する効果があることが示唆された。
Keisuke Sakurai, et al. Nutrients. 2020; 12(12):3639.
ルテインの摂取量は身体活動レベルと相関する
ルテインはいくつかの慢性疾患のリスクを軽減するカロテノイドである。ルテインが身体活動レベルに与える効果を調べるため、ルテインの食事摂取量または血中濃度と身体活動の関係について研究した査読付き論文を対象に、システマティックレビューを実施した。17の臨床試験が選択基準を満たした。そのうち11件は正の相関を、3件は複雑な結果を、3件は関連が無いと報告されていた。客観的な尺度であるルテインの血中濃度と身体活動(加速度測定法)を評価した研究2件では、相関係数0.36以上、ルテイン値上位3分位と下位3分位の間の身体活動の差が57%以上という正の関係がみられた。自己報告による評価法を用いた研究では、相関関係は弱いものの(r=0.06~0.25)、ルテインの値が最も高い群は最も低い群よりも身体活動が多い(18~600%高い)ことが示された。ルテインの食事摂取量または血中濃度が高いほど身体活動レベルが高くなる可能性があり、ルテイン摂取は慢性疾患のリスク低下に寄与すると示唆された。
Madeline C Cooke, et al. Nutrients. 2018; 10(9):1186.
アボガド摂取による黄斑色素増加と認知機能改善
ルテインは黄斑と脳に選択的に取り込まれ、黄斑と脳のルテイン濃度は認知機能の向上と関係している。また、黄斑色素濃度(MPD)は脳中ルテインのバイオマーカーである。アボカドの摂取が認知機能に及ぼす影響を調べるため、6ヶ月間のランダム化比較試験を実施した。健康な被験者が、アボカド1個/日(AV)摂取群(ルテイン0.5mg/日、20名)、ジャガイモ1個またはひよこ豆1カップ(C)摂取群(ルテイン0mg/日、20名)、いずれかに割り当てられた。血清ルテイン、MPD、認知機能を、0、3、6ヶ月の時点で評価した。その結果、6ヶ月の介入後、血清ルテイン濃度はベースラインと比べ、AV群で25%増加し(p=0.001)、C群で15%増加した(p=0.030)。また、6ヶ月後のMPDは、ベースラインと比較して、AV群で増加し(p=0.001)、C群では増加しなかった。記憶と空間作業記憶は両群で改善(それぞれp=0.001、p=0.032)したが、持続的な注意はAV群のみで改善した(p=0.033)。AV群のMPDの増加は、作業記憶及び問題対応の効率性の改善と関連していた(p=0.036)。アボカドを含む食事を推奨することは、認知機能の向上に効果的であるかもしれない。
Tammy M Scott, et al. Nutrients. 2017; 9(9):919.
