小松菜のルテイン量と保存・加工による影響

小松菜

日本で一般的な緑葉野菜である小松菜(Brassica rapa var. perviridis)6品種のルテイン含有量と加工及び保存による成分量への影響を調査した。生鮮6品種のルテイン含有量は3.7~5.4mg/100gFWであり、クロロフィル含有量を示すSPAD値と相関していた。乾燥前にブランチングすることで、ルテイン含有量の低下を抑制できた。筆者らが製造した小松菜粉末のルテイン含有量は0.66~0.92mg/gDWであった。粉末のルテイン含有量は6ヵ月の保存(20℃・遮光)により20 %低下したが、-30℃・遮光条件下で保存した場合、6ヵ月後も製造直後の値を維持した。適切な品種や加工条件を選択すれば,生鮮小松菜200~400 g/日,小松菜乾燥粉末12~24 g/dayを摂取することで,網膜黄斑部の色素量増加が報告されているルテイン摂取量(10~20 mg/day)を充足できる可能性がある。

石本太郎, 馬場隆. 日本食品科学工学会誌. 2021; 68 (2):77-83.

小松菜の粉砕によるホスファチジン酸生成

食品に含まれるホスファチジン酸(PA)が加水分解されることでリゾホスファチジン酸(LPA)が産生され、マウスの胃潰瘍を改善することが示されている。本研究では、摩擦熱などの影響を抑えて食品を微細に粉砕できるマイクロウェットミリング(MWM)システムを用いて、小松菜をPAが豊富な粉末に加工した。効果的なMWMの使用により、小松菜が十分に細かく粉砕され、PAが豊富に生成されることがわかった。PAの増加によりインビトロでの消化でLPA産生が促進された結果、潰瘍病変を効果的に軽減できるLPAの分子種が優勢となった。MWMが小松菜のPAの生体アクセス性を向上させ、胃潰瘍の食事療法に有益であることを示した。

Xinyue Li, et al. Food Res Int. 2019; 121:926-932.

収穫前の気温と小松菜の糖及びビタミンC含有量

冬期の低日射量下において、栽培期間の最高気温、最低気温、平均気温とほうれん草及び小松菜に含まれる糖及びビタミンC(VC)の含有量の関係を調べた。小松菜については、収穫前10日間の最低気温が5~20℃の場合は両成分とも変化がなかった(生鮮の葉身100g当たり糖約1g、VC約75mg)が、5℃以下の場合は気温の低下に応じて両成分の含有量が増加した。最低気温-5℃で、生鮮の葉身100g当たり糖約5g、VCは約175mgであった。葉柄についても同様の傾向がみられた。

田村晃. 園芸学研究. 2004; 3(2):187-190

冬期の低温処理による小松菜の成分変化

冬期の低日射量下で栽培した小松菜(Brassica Campestris L.)の糖と総アスコルビン酸の含有量に対する低温処理の影響を評価した。小松菜を平均気温13℃~15℃、日射量2~4MJ/㎡/日のハウスで栽培した。草丈約20cmに成長後、平均気温2~3℃の低温処理区に移した。小松菜の葉身及び葉柄の糖含有量は低温処理により急速に増加した。低温処理開始後の総アスコルビン酸含有量は、葉身では急速に増加したが、葉柄では徐々に増加した。一方、13℃~15℃で栽培を継続しても葉身と葉柄の成分組成は大きく変化しなかった。冬の日射量が限られている環境下でも、低温処理により小松菜の栄養価が向上する可能性があることを示した。

田村晃. 園芸学会雑誌. 1999; 68(2):409-413.

小松菜の植物ステロールと脂肪酸

品種及び収穫時期が異なるにんじん、ほうれん草、小松菜の植物ステロールと脂肪酸の含有量を調べた。小松菜は夏楽天、極楽天、笑天、みすぎ、浜美2号の5品種それぞれ10月と2月に収穫されたものをサンプルとした。総植物ステロールでは、10月収穫の小松菜(7.7~11.5mg/100g)は、2月収穫の小松菜(2.4~2.9mg/100g)よりも含有量が統計的に有意に高かった(p<0.05)。総脂肪酸含有量では、2月収穫の小松菜(259.1~402.1mg/100g)が、10月収穫の小松菜(81.1~161.2 mg/100g)よりも約2~5倍高かった。小松菜の脂肪酸の組成は、いずれの品種・収穫時期でもα-リノレン酸が最も高く、総脂肪酸の47~60%を占めた。

Wolfgang Marx, et al. Nutr Rev. 2019; 77(8):557–571,

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