高フラボノイド食による軽度肥満者での抗炎症効果

フラボノイド

フラボノイドの疾病リスク低減効果を検証するため、標準体重または軽度肥満の成人男性7名が基本的な食材を組み合わせた高フラボノイド食または低フラボノイド食を摂取するクロスオーバー試験を実施した。最初の2日間に低フラボノイド食が、次の7日間に高フラボノイド食(46.9±8.1mg/食)または低フラボノイド食が提供された。10日までを1サイクルとし、2サイクル実施した。高フラボノイド食の介入により、血漿フラボノイド濃度(ケルセチン、ケンペロール、ダイゼイン、ゲニステイン)の有意な増加が見られた(p<0.05)。全血球中の炎症性サイトカイン(インターロイキン[IL]1β、IL6、IL18、および腫瘍壊死因子-α)の遺伝子発現は、BMIが25kg/㎡以上の被験者で低フラボノイド食摂取と比較して減少した。フラボノイドが豊富な食事が、慢性炎症を起こしやすい肥満の人に対し抗炎症効果があることを示唆した。

Ryo Mannen, et al. Funct. Food Health Dis.2021; 11(2):56-72.

通常の食事後のフラボノイドの体内動態

典型的な通常の食事後のフラボノイドの吸収を調べた。7人の健康なボランティアが2日間低フラボノイド食をとり、3日目の朝に高フラボノイド食(40.44±1.49mg/食)を食べた。食事から0、2、3、7、8、9時間後に血液を採取し、血漿の酵素加水分解後、ケルセチン、ダイゼイン、ゲニステインのフラボノイドアグリコン濃度をLC-MSで測定した。高フラボノイド食から24時間の尿も採取し、尿中フラボノイドを測定した。血漿フラボノイドのピークは、食事から8時間後に観察され、さらに9時間後にも確認された。既往報告における単一の食品またはサプリメント摂取と比較して、様々な食品を組み合わせた典型的な食事は、血漿フラボノイドのピークを遅らせることを示唆した。フラボノイドの尿中回収率は、既往報告と比較して減少した。

Ryo Mannen, et al. Funct. Food Health Dis.2019; 9(9):558-575.

関西在住の中高年女性のフラボノイド摂取量

2002~2004年に、関西在住の中高年女性69名(51.3±11.4歳)を対象に、1日の食事に含まれるフラボノイド摂取量を調査した。100種類以上の食品をHPLC分析した結果を基に推定したフラボノイド摂取量と2002年のフラボノイドデータベースを用いて算出した摂取量は相関係数が0.8以上であり、データベースによる計算値の妥当性が示唆された。69名の食事に含まれるケルセチン、ケンペロール、ルテオリン、アピゲニン、及びミリセチンの合計フラボノイド(FL)摂取量(平均値±標準偏差)は47.4±31.8mg/日、主な摂取源はお茶飲料であった。ゲニステイン及びダイゼインの合計イソフラボン摂取量は36.9±35.0mg/日、主な摂取源は豆腐であった。イソフラボン摂取量は、他の文献から得られた日本人のイソフラボン摂取量とほぼ同じであった。FL摂取量と野菜摂取量に統計的に有意な関係は見られなかった。

井奥加奈, et al. 大阪教育大学紀要. 2008; 56(2):1-19.

北日本在住女性のフラボノイド摂取量

北日本に住む29~78歳の女性115名の3日間の食事記録及び健康診断結果について横断研究を実施した。食品機能性成分表に基づき、フラボノール及びフラボンの合計とイソフラボンの平均摂取量はそれぞれ16.7mg/日と47.2mg/日であり、主な供給源はそれぞれ玉ネギ(45.9%)、豆腐(37.0%)であった。イソフラボンの総摂取量は、フラボノール及びフラボン、カロテノイド(3.5mg/日)、ビタミンE(8.2mg/日)等の抗酸化物質の総摂取量を上回り、ビタミンC摂取量(109mg/日)の約半分であった。年齢、BMI、総エネルギー摂取量の調整後、フラボノール及びフラボン総摂取量は、血漿総コレステロール濃度(TC) (r=-0.236、P:<0.05)及び血漿LDLコレステロール濃度(LDL-C) (r=-0.220、P:<0.05)と逆相関していた。ケルセチン摂取量もTC (r=-0.261、P:<0.01)とLDL-C (r=-0.263、P:<0.01)と逆相関していた。日本人女性によるフラボノイドの高摂取が、他国の女性と比較して冠状動脈性心疾患の低い発生率に寄与している可能性を示唆している。

Arai Yusuke, et al. J Nutr. 2000; 130(9):2243-2250.

岩手県女性のフラボノイド摂取量

1996年に岩手県I市の女性50名(32~68歳)が調査に参加し、連続3日間の全食事摂取量を記録し、健康診断を受けた。予備的な食品データベースに基づき、フラボノイド摂取量を分析した。フラボノイドの1日平均摂取量は、ケンペロール4.9mg、ケルセチン8.3mg、ルチン1.5mg、ミリセチン0.6mg、ルテオリン0.3mg、ミリシトリン0.01mg、フィセチン0.4mg、エリオディクチオール0.3mgであり、野菜と果物からのこれらのフラボノイド摂取量は10mg未満であった。ダイゼインとゲニステインの1日平均総摂取量は39.46mg(7.80-87.73mg)であった。フラボノイドと抗酸化ビタミンが豊富な食事は、参加者の年齢およびHDLコレステロール値と正の相関があり、トリグリセリド値と負の相関があった。

Mitsuru Kimira, et al. J Epidemiol. 1998; 8(3):168-175.

TOP